オープンアクセスの受け皿は、どのみち、ゴミ箱になる(かも)、でも、だからなんだ?
さて、オープンアクセスは、結局のところ、費用負担の問題なんよ、って話をした(っぽい)けど、そっから派生してくる問題として、「質の問題」ってのがある(かも)*1。
前回もちょろっと触れたけど、「費用負担」の「費用」の中に、査読にまつわるコスト(査読代)ってのを挙げたのを、覚えてらっしゃる?
そんで、この維持管理費ってのは、サーバー代、ソフトウェア代、サーバーを管理するエンジニア代とかだけでなく、論文がすばらしいものかを判定する査読代までも含んだり、含まなかったり。
なんで、そんなコストをかけるのかってことをちょっと考えましょ。
査読ってのは、要は、「公にするのにふさわしい論文かどうかを、読んで審査すること」。
じゃ、査読をしないとどうなるのか?例として、My Open Archive(http://myopenarchive.org/)でも見てみましょ。
My Open Archiveは、査読を一切行わず、掲載希望の論文は、よっぽど公序良俗に反するよーなものでない限り、載っけちゃうの。
そーすっと、simpleAみたいなチンピラ*2が、うんちゃらかんちゃら適当に書いた文章も、余裕で載っかっちゃうことになるので、My Open Archiveってのはものすごーいゴミ箱になる可能性が高い。つまり、平均的な質が悪くなる可能性はイナめない。
ただ、それをゴミ箱と見るか、宝箱と見るのか、それは、あなた次第な側面・・・
そんな私の(あてにならん)意見は、次回・・・(かも)・・・
じゃ、査読をすりゃーいいかって、言うと、そーでもない(らしい)。
査読をめぐり、6月くらいに、オープンアクセス業界を揺さぶる小事件が発生。
英語に自信がある人は、こちら。
http://scholarlykitchen.sspnet.org/2009/06/10/nonsense-for-dollars/
日本語に自信がある人は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20090613
この事件の是非なんて、ここでは、どーでもいいの。でも、この事件は、オープンアクセスの何たるかをチラッと見せてくれるから、重要なの。
この事件はどうして起こったのか?(語弊注意ゾーン開始)
これまでの学術論文雑誌は、購読者が、購読料を払っていたの。そうすると、雑誌の編集社としては、良い論文を集めてきて、厳選したものを掲載していたほうが、より多くの読者をつかまえることができた(かも)。つまり、購読料というのは、読者の替わりに、良い論文を集めてきてくれる「クリッピングサービス」に対する料金ってわけ。
ところが、オープンアクセスの一部の編集社では、論文を載せたい人(≒著者)から査読代というものをもらって、それで通れば、論文を掲載し、読みたい人はタダで読めるわけ。すると、編集社としては、スポンサー(お金払ってくれる人)の論文にケチつけることなんて、できましぇーん。逆にタダで読もうとしてる連中(≒読者)なんて、真剣に相手しませーんよー*3。つまり、やってることは、テレビ局や新聞社と同じことなんです。
というわけで、テレビ番組や新聞の内容がなにやら怪しいものであるのと同様、論文を載せたい人(≒著者)から査読代*4というものをもらってるオープンアクセス誌というのは、多かれ少なかれ、あやうい気がするよ。
ってなわけで、結局何が言いたいのかって言うと、「査読なしってのは、ほぼ確実ゴミ箱になるわけ。でも、査読するために、査読代を著者から徴収してしまうと、またもや、ゴミ箱になるわけ。じゃ、どっから徴収するのかって、みんな頭を抱えて、結局、税金でうんちゃらかんちゃらってことになってくるけど、国が関わる以上、ゴミ箱なわけ。という感じで、いろんなゴミ箱の間を右往左往しているのが、オープンアクセスなんよ*5。だから、今さら、(例えばMy Open Archiveが)ゴミ箱だって揶揄しても、焼け石に水なの*6。そんな今、とっても重要なのは、ゴミ箱の中に、誰が手をつっこんで、どうやって宝を引っ張りだしてくるのかってことかもしんないよ」ってこと。