JPEG部分by yukioino and simpleA
さー、打ち上げパーティーが近いづいてきたよーん。打ち上げのみの参加もOKなので、みなさーん、突然の日程発表に備えといてねー。
今日も、一気に4章片付ける。この章で扱うJPEGは何かと重要。現在の普及率、知名度など、ダントツの1位だろうね。だから、ウンチクを知っておいて損はなーい。
(4章前半)>4章後半>4章結論>5章前半>5章後半>5章結論>おまけ2>おまけ1>おまけ4>scribdへアップ>みんなで打ち上げパーティー@門前仲町(勝手に予定)
かなり前になるから、id:fuzzy2さんの4章前半の訳も再度確認してね。http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20080603
昨日に引き続きぃ、id:yukioinoさんの「4章後半」に、simple Aの「4章結論」をドッキング。
『Alternative File Formats for Storing Master Images of Digitisation Projects』http://www.scribd.com/doc/2388286/Alternative20File20Formats20for20Storing20Masters202201
4 JPEG 29 4.1 JPEGとは何か? 29 4.2 詳細 30 4.2.1 ストラクチャー 30 4.2.2 エンコードとデコード/フィルターリングと圧縮 30 4.3 必要となるストレージ容量に対するフォーマット選択の影響 31 4.4 画質に対するフォーマット選択の影響 31 4.5 長期的な使用可能性に対するフォーマット選択の影響 32 4.6 機能性に対するフォーマット選択の影響 32 4.7 結論 33
4.3 必要となるストレージ容量に対するフォーマット選択の影響
テストに使った素材画像に関して言えば、Adobe Photoshop圧縮値をJPEG 10〜JPEG PSD1と仮定した場合、JPEG圧縮で得られる利得は、90〜98%の間で変動することが判明した。
4.4 画質に対するフォーマット選択の影響
五種類のJPEG圧縮のバリエーションをPhotoshop(スケール0〜12、PSD指定)でテストした。PSDは0、3、5、8および10で、0および3は極度の圧縮、5は平均、8および10は軽微の圧縮。
細部のロス:MTF
オリジナルTIFF (QA-62テストチャート):MTF 5.91/5.91. ファイルサイズ 4.7 MB
圧縮率 MTF水平および垂直
(平均して三つのRGBチャネル)ファイルサイズ JPEG PSD 10 5.9 / 5.8 204 KB JPEG PSD 8 5.4 / 5.2 128 KB JPEG PSD 5 4.9 / 4.8 84 KB JPEG PSD 3 4.3 / 4.2 64 KB JPEG PSD 0 3.8 / 3.5 57 KB
グレースケールおよびカラーにおけるロス
Kodak社のグレースケール標板では測定可能なロスはなかった。
Delta E値においてもさまざまな圧縮値で同様の結果となり、目立ったカラーシフトは生じなかった。(反対に、RGB値は相互に一つの値に引き寄せられた。)*1
アーチファクト
JPEGファイルにおいては、圧縮増大とともにはっきりと視認可能な三種類のアーチファクトが生じた(さまざまな種類の素材に基づくテストの結果)。
- ポスタライズまたはバンディング(カラーおよびグレー色相における粗い濃淡)。JPEG PSD 7/8からぼんやりと出現し、概ねJPEG PSD5から視認できるようになった。
- ピクセレーション:おおむねJPEG PSD2から出現。
- コントラストの高い部分がぼんやりするウーリー効果。JPEG PSD4から視認可能となった。
三番目の効果は特にテキスト(文字の周囲)に認められる。強度のJPEG圧縮の対象としては、テキスト素材(または線描のようにハイコントラストな他の素材)よりも写真や絵画のような連続階調を有するオリジナルのほうが適している。
PSNR
要調査
圧縮反復に対するフォーマット選択の影響
複数回圧縮すると画像は劣化する。テスト結果によると、JPEG PSD 10圧縮を適用した際の劣化が実際に認められるようになるのは、四回の圧縮実施の後である。
4.5 長期的な使用可能性に対するフォーマット選択の影響
「ファイル・フォーマットの評価方法」を「basic JFIF (JPEG) 1.02」フォーマットに適用した結果、0-100のスケールにおいて65.4のスコアをマークした。このレポートで比較された四種類のフォーマットを、上記の方法によって長期保存に最適なものから不適なものの順にソートすると、このスコアをもって「basic JFIF (JPEG) 1.02」は三位となった。これはスコア65.3の「LZW圧縮のTIFF 6.0」とほぼ同点であり、スコア66.1の「不可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」の次点となった。圧縮が不可逆性である点、またこのフォーマットが文化遺産部門においてマスター・フォーマットとしてほとんど使用されていない点が、最終スコアに重要な影響を及ぼしている。「不可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」と「basic JFIF (JPEG) 1.02」の二つから選択する場合、ファイルのより確かな将来性を考慮すると、後者が好ましい。
4.6 機能性に対するフォーマット選択の影響
- 書誌的および技術的(EXIF)メタデータを組み込むためのオプション
・内容関連のメタデータ:可
・技術的メタデータ:EXIF情報を埋め込むために個別のJPEG EXIFフォーマットが開発された(註35参照)。- 高解像度のアクセス・マスターとして提供する際のフォーマットの適合性
・ブラウザ・サポート:すべての標準的ブラウザがJPEGをサポートしている。
・高解像度画像アクセス:高解像度JPEGは、しばしば拡大ファイルとして使用される。この作業は個別の画像として、独立した解像度のレイヤーを複数作成して行う。これらの画像は、タイルに再度分割されることもある。*2- 最大サイズ
・要調査
米国議会図書館による「品質および機能性ファクター」*3
- 通常の表示
・スクリーン表示:可
・印刷:可
・拡大:可- 明瞭度
・高解像オプション:可。多大な圧縮をかけると細部が損なわれることがある(項目3.4を参照)。
・ビット深度:8および24ビットに制限される。*4- カラー調整
・さまざまなカラースペースのサポート:可(ICCプロファイル非経由)
・ガンマ調整を含ませるオプション:不可
・ICCカラープロファイルを含ませるオプション:可*5- グラフィックエフェクトおよびタイポグラフィのサポート
・ベクター・イメージ・オプション:不可
・透過情報:可
・フォントおよびスタイルを特定するオプション:不可- 通常の表示以外の機能
・アニメーション:不可
・マルチページサポート:不可
・マルチ解像度:多少は可。より大きい画像のサムネイルを保存することもできる*6。しかしこの機能は、画像編集/閲覧ソフトウェアではほとんどサポートされていない。
4.7 結論
フォーマットの詳細
- 規格化:JPEGは1994年よりISO/IEC(10918-1)規格となっている。規格のアネックスBの拡張部分、JFIFが、デファクト・スタンダードになっていて、単にJPEGと言った場合、この部分を指す。
- 目的:連続諧調のグレースケールないしカラーの画像に対する圧縮の規格を作ること。
- 構造:今後の課題。
- エンコード:5つのステップ。最も特徴的なのは、DCT圧縮方法を採用していることである。
ストレージ容量に対する影響
- 容量節約は、約89%〜96%である。
画質に対する影響
- 圧縮率を増やしていくと、徐々に細部が荒くなる
- グレースケールやカラー情報の計測可能なロスはなし
- アーチファクト:高い圧縮率を用いると、ポスタライズ、ピクセレーション、(コントラストの高い部分がぼやける)ウーリー効果が発生する
- PSNR:今後の課題
長期的な使用可能性に対する影響
- 評価スコア 65.4
- 主な問題点:不可逆圧縮であることと、資料保存の分野ではあまりマスターファイルとして使われていないこと
機能性に対する影響
重要な利点:
- エディター、ビューワー、ブラウザで完全にサポートされていること
- 圧縮と解凍に、あまり計算処理を必要としないこと
- 効率的な可変DCT圧縮を用いていること
- EXIFメタデータを追加する方法が標準化されていること (JPEG EXIFフォーマットとして)
重要な欠点:
- ロスレス圧縮を選択できない
- ビット深度の選択が狭い(グレースケールは8ビット、カラーは24ビット)
- マルチ・レゾリューションが選択できないこと
推奨
理由1(代替)に対する考察
代替目的としては、JPEGは好ましくない。長期的に使うことができるという観点から、情報が不可逆的に失われることから、好ましくない。評価スコアが66と低いのは、この不可逆性による。使う可能性があるとすれば、見た目にはロスレスであるPSD 10以上を使う場合であり、この場合、圧縮の結果89%のスペースを節約することが可能である。ただし、この場合、見た目にはロスレスであるというのは、相対的な話で、現在のモニター技術の水準や、観察者の主観によるところが大きいことを理解する必要がある。
理由2(やり直しが効かない) に対する考察
この目的の場合、見た目にロスレスの範囲でJPEGを使うことが、適している。オリジナルの代替ではないのだから、少しの情報欠落は正当化できる。JPEGが広く普及していて、様々なソフトでサポートされていることもまた、JPEGが好ましい理由の一つである。
理由3(マスター・ファイルはアクセス・ファイルの元になる) に対する考察
この目的の場合、JPEGで高い圧縮をかけることが好ましい。JPEGの圧縮方法は、画質の低下をあまり伴わずに、比較的に高い圧縮率を実現できる。圧縮率を決めるときは、素材の種類を考慮する必要がある。例えば、写真などの連続諧調のページよりも、テキスト・ページにおいて、圧縮によるアーチファクトが目立つ。
*1:delta Eが、圧縮ファイルと非圧縮ファイル間の色彩差異を計測する優れたツールとなりえないのはこのためである。色彩の差異は、微妙な色彩変化の歪曲に生じる(「アーチファクト」参照)。
*2:Geheugen van Nederland (memory of the Netherlands) (http://www.geheugenvannederland.nl/) が「独立した解像度のレイヤーを複数作成」した例であり、Amsterdam City Archive (http://beeldbank.amsterdam.nl/) の画像データベースによるソリューションが「タイルに再度分割」した例である。
*3:http://www.digitalpreservation.gov/formats/content/still_quality.shtml
*4:12ビットJPEGは医療用アプリケーションなどで使用されている。12ビットJPEGはJPEGスタンダードの一部であるものの使用されることはほとんどなく、サポートもされていない。ウィキペディア「JPEG」の項目を参照。 http://en.wikipedia.org/wiki/JPEG#Medical_imaging:_JPEG.27s_12-bit_mode.
*5:ICCプロファイル4.2.0.0. LOCの詳細 http://www.digitalpreservation.gov/formats/fdd/fdd000018.shtml#factors.
*6:バージョン1.02からスタート。LOCの詳細 JFIF http://www.digitalpreservation.gov/formats/fdd/fdd000018.shtml#factors.