simpleA記

馬にふつまに 負ほせ持て

アメリカン・タコ部屋物語(第2話)



前回、仕組みをトコトン理解すると、モデルってのが見えてくるから、そっからはずれると良いことあるかな、って話をした。そんで、クレジットカード会社は、モデルとして、限度額いっぱいまで使っちゃって、毎月利息を払ってる人たちを想定してる、って話もした。



も少し、このモデルについて、考えましょ。また、違ったもんが見えてくるかもしんないので。



限度額いっぱいで困ってる典型的アメリカ住民は、その先どーすんのでしょ?
メジャーなその先モデルとして、2つくらいあると思うよ。



ひとつ目は、Balance Transferって作戦。



これは、前回、「新しくカードを作ると、1年間支払いしなくて良い特典がついてくる」って話したでしょ。そんで、その特典を使って、今までAというクレジットカードに$5,000の限度額いっぱいの借金してたとすると、Bというカードを新しく作って、そっくり$5,000(Balance)を移動(Transfer)させちゃうわけ。そーすっと、Aというカードでは毎月60ドルくらいの利息払わないといけなかったのが、Bでは1年間無料になるんだよね。1年後に、やっぱりBで利息が再開しちゃうので、次はCというカード作って・・・を繰り返す。



日本でも似たようなもんがあって、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A4%87%E5%88%A9によると、

借換を悪用して期日になると借金の元本と利子に相当する金額を他社から借金させて返済させ、期日がくるとまた他社から借金させて返済させることで実質上の複利返済になってしまう場合がある。

悪徳業者は借換をすると利子が安くなると言って借換を勧めるが実質上は複利になっているので、借換後の金利が1%程度安くなっても実質上の支払額は減っていないどころか増える場合すらある。 最悪の場合には毎月のように業者間で借換のたらい回しにされ多重債務に陥る。

らしいんだけど、アメリカの場合、1%安くなるとかじゃなくて、金利ゼロになっちゃうから、すばらしい(というか、おそろしい)。




ふたつ目は、Equity Loanって作戦。



まぁ、日本でもそーかもしんないけど、典型的アメリカ住民って、けっこう家を買うんだよね。そんで、話をシンプルにしちゃえば、家が値上がりすると、その値上がり分を担保に、銀行とかがお金貸してくれる。その借りたお金で、クレジットカードの返済をしちゃうの。



なんでかって言うと、通常、クレジットカードの利息より、家担保で借りたもんの利息の方が小さい。例えば、5,000ドルをクレジットカードで借りてると、毎月60ドルくらいの利息だったのが、家担保利息だと30ドルくらいだったりする。さらに、クレジットカードに払う利息ってのは、税金上何の優遇措置もないんだけど、家担保利息ってのは、申請すると、税金から差し引いてくれちゃったりするわけ。*1



ってな感じで、典型的アメリカ住民は、どうにかサバイバルしていくかのよーに見える。



ところが、モデルとしてちゃんとターゲットにされてんだから、ちゃんと最後の一滴まで、血は吸われちゃう運命なわけ。つまり、モデルとしてターゲットにされてるってことは、タコ部屋に入ってんのと同じこと。



じゃ、このアメリカン・タコ部屋の中でも見に行ってみましょ。



ひとつ目のBalance Transfer作戦が自転車操業(タコ部屋)だってのは、言わずもがな。実際にこの作戦がどんくらい通用するか試してみたけど、かなりシンドかった。実感として、3年連続で新しいカードを発見することは無理かな。ただ、Balance Transferってのもうまく使えば、ちゃんと利益は上げれたよ。2年間はね。経験上、3年目で破綻。破綻する仕組みについては、今度、Credit Scoreってのを話するときにね。



ふたつ目のEquity Loan作戦。これが自転車操業(タコ部屋)だってのは、分かりにくいんだよね。でも、よーく思い出して。そもそもクレジットカードに借金が残ってた人ってのは、「でっかいテレビとか、豪華な旅行とかを、ついつい買っちゃう、根っからの借金好き・買い物好き」だったでしょ。そんな人のクレジットカードが完済されて、また$5,000の限度額が復活したら、何すると思う?すぐに、家庭用ジャグジー買ってきたり、新しい宝石買ってきたりするに決まってるでしょ。だから、そんな方々のクレジットカードが完済状態ってのは、一瞬の出来事なわけ。すぐに限度額パンパンになるのは明らか。しかも、ちょいと危険で、家がどんどん値上がりすると、さらに家担保でクレジット完済できて、ってその繰り返し。ところが、今年の夏のように、ある日突然、値下がり始めると、まずカードの支払いが滞って、家のローンも滞って、・・・てなことに。そんで、みんな家が競売にかけられちゃう。*2



というわけで、結局何が言いたいのか、って言うと、「Balance Transferってのはクレジットカード会社によってモデル作成されてて、Equity Loanってのはクレジットカード会社、不動産会社、銀行、政府がみんなでモデル作成してんだよね。ってな感じで、アメリカって国は、みんなでタコ部屋運営してんじゃないかって思える節があって、しかもかなり多くの人が気付かずタコ部屋行きになってるよ。でもね、ちゃんとモデルを見抜けて、はずれてく意思さえあれば、良いことあるよ」ってこと。実際、Balance Transferでもちゃんと「いいとこどり」を実験実証済み。Equity Loanについては実証するところまでいけんかったけど。

*1:あんまし正確に話をしてないから、ゆるやかに読んでね。

*2:ちなみに、日本で大騒ぎのサブプライムってのは、米国現地ではそー大した問題になってないような気がするよ。日本の報道にだまされないほうが良いかも。