simpleA記

馬にふつまに 負ほせ持て

フランソワーズはお好き?

暑さにやられちゃったので、珍しく文学な話でもしましょ。


前回(http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20090624)、何気ない日常が宝かもよ、という話をした。んだけど、世には、「それでも、人生は、太く短く!」というモットーな人々が居るわけ。


まず、一人目。フランソワーズ・サガン


今、映画(http://www.sagan-movie.com/)がやってんので、そっちを見に行くとすぐ分かる(はず)。こいつの人生、大変だー*1、ってこと。(東京、大阪、愛知以外の人は、これから秋にかけて、はじまるよー)


この映画のキャッチコピーは

人生そのものが最高傑作だった

でーす。


普通、「君の人生は最高傑作だ!」って言われりゃぁ、そりゃ、間違いなくホメ言葉なわけさ。でも、サガンの場合、ちょいと違う。サガンの作品ってのは、そのトンデモない内容や、トンデモない成り立ちで有名なわけ。そんなトンデモない内容の作品を押しのけて、「サガンよ、あんたの人生そのものが最高傑作だ」ってチャカされちゃってるわけで、そりゃ、そんな人生抱えた彼女は大変よ。


そんな彼女の人生を、ぜひ見に行ってみてね。そんで、見終わった後、映画館の出口でふと、「私の人生、平凡かもしんないけど、それって・・・なのね」とつぶやいてみましょ。


ところで、サガンと言えば、「実存主義*2」っちゅう、ちょいと「根暗な思想」が、影をちらつかせてて、読めば読むほど、「人生ってやーね」って思えて来る(かも)。なので、少々嫌い。*3ただ、読書っちゅうもんは、好き嫌いが先じゃー困るわけ。好きだから読む、嫌いだから読まないってんじゃ、単なるわがままであって、本来の順序は、読んだら好きだった/嫌いだった、とならなきゃあかん。何事も経験です。いずれにしろ、読むんです。


実存主義」っちゅう「根暗な思想」には、ちょいと「付き合い方」があって、それを間違えると、不幸のどん底へ落とされてしまう。その正しい「付き合い方」のひとつは、http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20090416で紹介したよーに、コミカルな音楽でも流しながら、さらっと内容を流すこと。間違っても、カラシマミドリのサイレントイブなんて流しちゃいけないよ。


準備体操として、こちらの漫画を見ると、良いでしょう。こちらこそ、最高傑作です。
http://www.b-sou.com/pal4-Sartre.htm
実存主義」っちゅうのは、本来、つらくてたまらん人生を、いかに笑い飛ばして、強く生きていくのかって応援歌なの。主人公の半田巡査のよーに、たくましくなりましょ。


じゃ、準備はいい?コミカルな音楽を用意して、次はこれを読んでみましょ。男女の違いはあれど、主人公のポールの格好が半田巡査のよーだと想像して、軽く流して読んでいきましょ。

ブラームスはお好き (新潮文庫)

ブラームスはお好き (新潮文庫)


ってなわけで、結局何が言いたいのかって言うと、「実存主義」っちゅう「根暗な思想」は、実は、人生ってもんの大変さから目をそむけず、かつ、くじけることなく、がんばって生きてりゃ、どーにかなるさ、という「能天気」なはずです。ところが、サガンをはじめ、フランス風「実存主義」な連中は、人生の大変さから目をそむけないだけでなく、好き好んで、人生を大変にしていく週刊誌のよーな連中なわけ。そんな連中の戯言をまともに引き受けてたんじゃー、身がもちませーん。いくらなんでも、もっと普通に生きることもできるだろ、子供じゃないんだから、ってのが私の読書感想です。さて、あなたは、フランソワーズはお好きですか?」ってこと。

*1:ネタバレしないよーに、「大変」としか言いよーがありませんので、あしからず

*2:ヘンテコな名前なので、詳しい内容に立ち入るのはやめましょ

*3:私は個人的に、「文学は、夢を与えなければいけない」「明るくなければいけない文学じゃない」という信条を持つわけ。特に根拠のない、単なる信条。