「浮世に生きる」宣言
*1
新年早々ですが、世には「浮世(うきよ)」という言葉があって、この言葉は短いくせに、いろんな意味を背負わされてんの。こちらの説明が簡潔で良いんではないでしょか。
浮世とは長い戦国時代から抜け出て、ようやく平和が訪れた江戸時代に、それまでの辛い「憂き世」から気楽に生きる「浮世」と言う意味で使われはじめたとされます。やがて浮世は現代風、当世風という意味を持つようになり・・・
浮世はまた虚しいというような意味も持ちます。
http://www.tamagoya.ne.jp/potechi/b/archives/2001/10/530.php
つまり、「現代のふわふわしたよーな、実体のつかめず、どこか虚しー、お気楽な世の中」みたいな意味なんやね。新年にふさわしい言葉でしょ。
さて、浮世と言えば、浮世草子。浮世草子と言えば、井原西鶴。井原西鶴と言えば、『好色一代男』。
その好色一代男は、Wikipdediaで断言されちゃってるよーに、
有り体に言ってしまえばポルノグラフィである
読んでみりゃ分かるが、確かにエロい。なので、生真面目なこのサイトで、内容について、どーこー言うつもりはないんだけど、その成り立ちについては、大いに語る。
好色一代男という作品は、
一人の男性(世之介)の好色で自由気ままな人生を活写することにより、庶民男性の一つの理想的な生き方を描きだす
というものなんだけど、ここで、重要なのは、赤字にした2か所だね。
まず、自由きままな人生について:
浮世の言葉の歴史から言って、はじめは「憂き世」だね。とにかく、世を憂うほど、人生辛かったんよ。
人生辛いとね、みんな、今生きてる世の中はうそで、死んだあとにウルトラハッピィーなところへ行けるんだよ、って考える。ありがちー
そんで、今、この瞬間を、「仮の住まい」としか考えなくなる。当然、ふわふわ浮いてくるわけで、このころ、字が変わっちゃって、「浮世」になっちゃったらしー。(一種の逆転の発想だね、すばらしー)
江戸時代に入り、あちらこちら浮かれポンチだらけになって、どーせ世の中、「仮の住まい」なんやから、遊んで暮らそーや、みたいな風潮が出てきた。
自由きままな人生を謳歌するって、やつだね。そして、自由きままが、なぜか、エロに直結しちゃったわけ。(さすが、浮かれポンチ!)*2
なので、好色一代男は、エロ作品なんだけど、エロいことを言いたいから書かれたわけじゃなくて、それまでの考え方/生き方に対する挑戦とみるべきなんだね。
つまり、それまで死んだあとのハッピーを目的に生きていた人々に対して、「今を生きる」ことを説き、「今、この瞬間を大事にする」ことを提議したんやね。
すてき。
次に、理想的な生き方について:
いつでも、どこでも、「理想的なもの」っちゅうのは、現実にないものなの。
好色一代男っちゅうのは、「こんなやつ、ぜってーいねーよ」と「でも、そんな感じで生きれたら、いーかもしんないなー」という気持ちの微妙なバランスの上に描かれた、想像上のエロ男です。
つまり、構造としては、宗教本と変わらないんですね。*3
内容がエロいから、つい不真面目なんだと思いがちだけど、そんなこったーなく、「一人の人間の生きていく道」を示した一つのマジメな論考なんですよー。
そーゆもんだと思って、も一度、読んでみなー。
ってなわけで、新年早々何を言いたいのかっちゅうと、
ますます、先行きの透明感がなくなり、世に暗雲立ち込めてきましたねー。きゃー、大変です。*4
そんな中、私の今年の抱負(≒戦略*5)は、3つ。
- 憂いて生きるな、浮かれて生きよ*6
- この世ははかないからこそ、来世に目を向けるのではなく、今、この瞬間を大事にしろ*7
- エロいだとか、そういう表面的なものに惑わされず、その裏にある歴史的な戦いに身を投じよ*8
わけわからんかもしんないけど、一年を通じて、この方針に沿っていろいろと書いていくはずなので、振り返れば、分かるかーもしんないので、おつきあいよろしゅー
ってこと。じゃ。
*1:いつものごとく、ウソかホントかは、どうでもいいの。その前提で話は進むので、注意しよーね。
*2:自由についての私の見解は、2009年のスタートで扱ったので、そっちを見てね。http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20090117
*3:宗教関係の方、ごめんなさい。そちらを侮辱するつもりじゃーなくて、西鶴を持ち上げる意味ですので、ご勘弁あーれ
*4:ノー天気に生きてるよーに見えますが、ちゃんと、世の動き、察知しておりますので、ご心配なーく
*5:浮世(≒現代)に生きるための、戦略
*6:暗い歌ばっかり聞いてないで、明るい歌で気分から盛り上げよー http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20090416
*7:何事も、真剣勝負 http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20100816
*8:つまり、それは、世の常識だとか、慣習だとか、との戦いになるわけでーす http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20090616