simpleA記

馬にふつまに 負ほせ持て

yukioinoさんから、JPEG2000について届いた


さらに肉付けしてー!週末に、ゆっくり読もー。


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JPEG 2000を選択することによる顛末話ね。

id:yukioinoさんからの訳




『Alternative File Formats for Storing Master Images of Digitisation Projects』http://www.scribd.com/doc/2388286/Alternative20File20Formats20for20Storing20Masters202201

2.3 必要となるストレージ容量に対するフォーマット選択の影響 18
2.4 画質に対するフォーマット選択の影響 18
2.5 長期的な使用可能性に対するフォーマット選択の影響 19
2.6 機能性に対するフォーマット選択の影響 20


2.3 必要となるストレージ容量に対するフォーマット選択の影響


さまざまなテストの結果から*1、可逆モードのJPEG 2000を使用すると、非圧縮ファイルと比較して約50%のベネフィットを得られることが判明した。テストに使った素材画像に関して言えば、不可逆圧縮版JPEG 2000 part 1によって実現できる利得は、Lead Photoshopプラグイン圧縮率設定が10〜50と仮定した場合、91〜98%の間で変動すると思われる。*2


2.4 画質に対するフォーマット選択の影響


可逆モードでは、画質に影響はない。


不可逆版:
圧縮量によって画像が劣化する。五つのバージョンについて、Lead JPEG 2000 Photoshopプラグイン(圧縮率)を25、75、100、500としてテストした。


ロスの詳細:MTF


オリジナルTIFF (QA-62テストチャート):
MTF 5.91/5.91(水平/垂直). ファイルサイズ 4.7 MB

圧縮率 MTF(水平/垂直)
(RGBの平均)
ファイルサイズ
25 5.8/5.8 83KB
75 5.8/5.8 62KB
100 5.8/5.8 47KB
500 3.9/3.1 10KB


グレースケールおよびカラーにおけるロス


Kodak社のグレースケール標板では測定可能なロスはなかった。Delta E値においてもさまざまな圧縮値で同様の結果となり、目立ったカラーシフトは生じなかった。


アーチファクト


JPEG 2000ファイルにおいては、圧縮増大とともにはっきりと視認可能な三種類のアーチファクトが生じた(さまざまな種類の素材に基づくテストの結果)。

  1. ポスタライズまたはバンディング(金城注:両方とも諧調のつぶれ)。テキスト・ページでは、近似圧縮率75の時点から視認できるようになった。連続階調画像では、圧縮率100でアーチファクトがわずかに認められるようになり、200ではっきりと確認できた。
  2. タイリング効果。タイルが生じたのは、極端な圧縮時(圧縮率200)のみだった。これは画像自体と同一寸法のタイルを選択することで回避できる。
  3. コントラストの高い部分がぼんやりする(ウーリー効果)。近似圧縮率75の時点から認められるようになった。


三番目の効果は特にテキスト・ページで文字の周囲に認められる。強度のJPEG 2000圧縮の対象としては、テキスト・ページ(または線描のようにハイコントラストの他の素材)よりも写真や絵画のような連続階調を有するオリジナルのほうが適している。


PSNR
要調査


2.5 長期的な使用可能性に対するフォーマット選択の影響


JP2フォーマットと、可逆圧縮(「PNG 1.2」および「LZW圧縮のTIFF 6.0」)および不可逆圧縮(「basic JFIF (JPEG) 1.02」)の他フォーマットを正確に比較するために、JP2フォーマットを「可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」と「不可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」に分けた。
「可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」フォーマットに「ファイル・フォーマットの評価方法」を適用した結果、0-100のスケールにおいて74.7のスコアをマークした。不可逆圧縮版では、スコアは66.1となった。このレポートで比較された四種類のフォーマットを、上記の方法によって長期保存に最適なものから不適なものの順にソートすると、「可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」のスコアは、「PNG 1.2」(スコア78)に次いで二位を占める。このあたりで、使用している調査方法では評価しきれない部分が出てくる。この方法では、評価項目の「マスター・イメージ・ファイルとしての文化的遺産部門における使用」がトータルのスコアに深く寄与している。しかし現段階では、採用に関する将来の展望が評価方法の中に含まれていない。JPEG 2000およびPNGは、現行ではマスター・ファイルとして広く使用されてはいないものの、JPEG 2000はマスター・ファイルたりえる将来性を持っていると期待できる。PNGは1996年から存続してきたが、JP2は2000年からの新規格である。


「不可逆版JP2 (JPEG 2000 Part 1)」は、ほぼ同じスコアの「basic JFIF (JPEG) 1.02」をわずかにしのいで三位となった。JPEG 2000の不可逆バージョンだけでなく、JPEG 2000の可逆バージョンとPNGの両方とも、(TIFFと比較した場合)フォーマットの低採用率のためにスコアが根本的に低い。採用率は、この調査方法においては非常に重要なファクターである。「basic JFIF (JPEG) 1.02」とJPEG 2000の不可逆版ではスコアがほとんど変わらないが、ファイルのより確かな将来性のために「basic JFIF (JPEG) 1.02」のほうが好まれる傾向がある。JPEG 2000の使用に関するレポートは「実践的なデジタル保存基準 a Practical Digital Preservation Standard」として、DPCのウェブサイト上で公表されている。*3


2.6 機能性に対するフォーマット選択の影響


書誌的および技術的(EXIFメタデータを組み込むためのオプション

  • 書誌的メタデータXMLデータ、限定的IPR(知的財産権)ボックス*4、およびISO 11578:1996に基づくUUID(汎用一意識別子)*5、以上の三つのボックスに対してメタデータ追加が可能である。
  • 技術的メタデータ:JPEG 2000ヘッダ内のEXIFメタデータを保存する標準的方法はまだない。これをUUIDで行おうという提案がある。


高解像度のアクセス・マスターとして提供する際のフォーマットの適合性

  • ブラウザ・サポート:非常に限定的(AppleSafariブラウザのみ)*6
  • 高解像度の画像アクセス:JPEG 2000をサポートするブラウザはまだないため、アクセス画像として通常、JPEGをオン・ザ・フライで生成して使用する。


最大サイズ

  • 最大画像寸法の横幅および縦幅は、(2^32)-1である。特別な設定(コードストリームボックスをファイルの最後に移して、長さ「不明」とシグナルする)にすれば、ファイルのサイズ制限はない。ファイル・フォーマット・ボックスは、最大2^64-1バイト、つまり1600万TBの長さのシグナルが可能である。これらは当然、理論上のファイルサイズであって、現行のプログラムでこれらのサポートが可能なものは存在しない。*7


米国議会図書館による「品質および機能性ファクター」:*8


通常の表示

  • スクリーン表示:可
  • 印刷:可
  • 拡大:可


明瞭度

  • 高解像度オプション:可。多大な圧縮をかけると細部が損なわれることがある(3.4項目を参照)。
  • ビット深度:JPEG 2000 Part 1のコアファイルは、1〜38ビット間で変動する。*9


カラー調整

  • さまざまなカラースペースのサポート:可(ICCプロファイル非経由)
  • ガンマ調整を含ませるオプション:可

ICCカラープロファイルを含ませるオプション:JPEG 2000 part 1ではスタンダードオプションとして、sRGB、グレースケールおよびYCCの使用が可能。代替的には、限定されたICCカラープロファイル*10が使用できる。*11


グラフィック・エフェクトおよびタイポグラフィのサポート

  • ベクター・イメージ・オプション:不可
  • 透過情報:不可
  • フォントおよびスタイルを特定するオプション:不可


通常の表示以外の機能

  • アニメーション:不可(このオプションはJPEG 2000 Part 3 および12で提供される)
  • マルチページサポート:不可(このオプションはJPEG 2000 Part 6で提供される)
  • マルチ解像度:可。他に、カラー、画質または位置からイメージプロシーディングを構成するオプションがある。

*1:付録4参照

*2:Lead Photoshopプラグインは、最適な圧縮結果を保証するものではない。純正のJPEG2000プラグインを使用した代替テストでは、大きな差は生じなかった。LEADプラグイン使用時に比べると、Photoshopプラグインの可逆圧縮の成功度はやや低下して、前者では53%であるのに対して後者では52%である。代替法(例としてLurawave clt コマンド圧縮ツール http://www.luratech.com/products/lurawave/jp2/clt/)についてはさらにテストが必要である。

*3:Robert Buckley, JPEG 2000 – a Practical Digital Preservation Standard?, a DPC Technology Watch Series Report 08-01, February 2008: http://www.dpconline.org/graphics/reports/index.html#jpeg2000

*4:このオプションは、JPEG 2000スタンダードのPart8では大きく拡張されている

*5:ウィキペディア、「JPEG 2000」http://en.wikipedia.org/wiki/JPEG_2000.より。Adobe XML準拠XMPスタンダード(UUIDボックスを使用する)は、ヘッダ内のEXIF情報の保存方法の標準を提供しようとしている

*6:http://echoone.com/filejuicer/formats/jp2

*7:Klaus Jung、Judith Rogへの2008年2月13日付eメールにて

*8:http://www.digitalpreservation.gov/formats/content/still_quality.shtml

*9:uckley、「JPEG 2000 Image Archiving」45ページ、スライド90。パート4においては三つの異なるコンプライアンスクラスが示されている。クラス2は、これらのオプションを16ビットに制限する。

*10:定義は以下による。ICC Profile Format Specification ICC.1:1998-09

*11:JP2のデジタルアーカイブ詳細の項目1.8: http://www.fcla.edu/digitalArchive/pdfs/action_plan_bgrounds/jp2_bg.pdf