社外取締役って何すんの?
職業柄*1、いろんな質問を受けんだけど、そん中でもよく出る質問。
社外取締役って、一体全体、何するんですか?
この社外取締役ってのは、会社ってもんの一面を理解すんのに、とっても良い材料なので、ちょいと説明しときましょ。(ただし、いつものごとく、厳密じゃないので、そこんとこよろしく。)
まず、「社外取締役」を分解します。「社外」+「取締役」。
「取締役」ってのは、http://d.hatena.ne.jp/simpleA/20080218にも書いたよーに、「ディレクター(Director)みたいな人」で、
[目先のことに追われてると、]いつのまにか会社は変な方向に進み出す(ことがある)。そこで必要なのが、方向チェックとその修正。英語で言えば、ディレクション(Direction)ってやつで、それをする人がディレクター(Director)みたいな人。方向決めるためには、どちらかと言うと、未来を向いてないといかんよね。なかなか大変なお仕事
をしてるわけ。
そんで「社外」ってのは、英語だと「independent」となってて、要は、その会社と全然関係なーい人、ってこと。そーすっと、なんで「会社と全然関係なーい人」が会社の進むべき方向にあれこれ口出しすんだ?ってことになる。社内のおっさん・おばちゃんが、「会社や業界の事情も分からんよーな奴の話なんて、聞いてられっか!」とプンプンしてる姿が想像できる。
でもね、こっからがとっても重要。
社内のおっさん・おばちゃんの気持ちはよーく分かるんだけど、だけど、会社の進むべき方向を決める*2って時、実は、業界の知識とか、社内事情に精通しているとか、そーんなことはどーでもいいわけ。*3必要なのは、社会的良識と独立性。
(会社の進むべき方向を決める)取締役会なんてのは、所詮、じいさん・ばあさんの寄り合いってなくらいで考えておくと良い*4。だから、本当に重要な細部については、こんなとこで決めなーい、決まらなーい。重要な細部は、日本なら現場で決まるし、アメリカならCEOって人が決めちゃうわけ。でも、現場が社会的に正しいことすっか分からんでしょ?CEOが世間に笑われないよーに決めるとは限らんでしょ?だから、現場から上がってきた案を取締役会で取り締まる。CEOを取締役会に呼び出して*5、事情聴取して、必要なら諭す。取締役会ってのは、そんな「説教部屋」なわけ。
ってなわけで結局何が言いたいのかって言うと、「会社ってのは、CEOを筆頭とするギラギラした若もんがバリバリ働いて、のんびりじいさんやのんびりばあさんが良識でブレーキかける、ってな綱引きの場。そんとき、じいさん・ばあさんに期待すんのは、業界知識でも、社内政治でもないのは自明。期待してんのは、世間の荒波を生き抜いてきた経験と知恵なわけ(すなわち「良識」)。そーいう期待を背負って取り締まる人を、社外取締役って呼ぶ。だから、「会社と全然関係なーい人」が会社の進むべき方向にあれこれ口出ししたって、何もおかしーことないってわけ。そんでむしろ、この趣旨からして、取締役会のメンバーの半数以上は、社外取締役であるってことが望ましーじゃないんかな」ってこと。
(読んでみても良いかもって本)
- 作者: 全国社外取締役ネットワーク,中谷巌,田村達也
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (4件) を見る