テクノロジーとあんまし関係ないとこで「技術者の眼」を持つ人たち
またもや、どえらい本が届いた。(感謝)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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梅田さんいわく、
一流の人たちに共通するのは、
- 「技術者の眼」で世の中の変化を見通す力、
- 妥協を排する強さ、
- 細部への徹底的なこだわり、そして
- それを実現するための勤勉と没頭の継続
です。
私たちはここからとても多くのことを学ぶことができると思います。(p.172、勝手に改行)
ってなわけで、この部分が一番心に響いた。
でも、「(お前の感想はええから、)データを使え」(p.104)とも言ってたので、ならって、具体例で見てみましょ。
「人生のある時期にベンチャー創造に関わって成功し、「経済的自立」を勝ち取れば、あとは一生、自分がつくりたいモノをつくりながら自由に生きていく権利を得る」と考えるハッカーがいる。(p.132)
シュリーマン*1は、「発掘調査費を自弁するために、貿易などの事業に奔走し」た。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
真正の理系人間は、「原理から考えて、新しいものを自分でつく」っちゃう。(p.125)
さらに、
ハッカーは、「論文を書くだけの学者とは違うんだぞ、という自負」を持っている。(p.130)
シュリーマンは、「「イーリアス」を読み込んだ結果、トロイア城はヒサルリクの丘にあると推定し、調査を続けた結果、同地に遺跡を発見した」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
「細部に『取り憑かれたような関心をもつこと』」が「決定的な要因」である(p.162)
こんな本を出してる波田野さんは、「私の思考は細部のみによって構成されている」と言う。
http://stowaway.exblog.jp/4409519/
波田野さんの本を読んだ(見た)読書は、「波田野直樹の『アンコール遺跡を楽しむ』(連合出版 二五○○円+税)には感心した。その名のとおりアンコールワットとその周辺に特化したガイドブックだが、記述の綿密さにおいて一級の水準に達している」と言う。
http://www.impala.jp/bookclub/html/dinfo/10118915.html
「モノを見て、それを作った人の心がわかる - これぞ技術者の視点です。」(p.128)
三上さん(id:elmikamino)は、
ところで、以前から気になっていたsimpleAのロゴタイプの書体は、特に大文字の「A」にその特徴が顕著に見られるように、平筆のストロークの痕跡を活かした、かつしっかりした「足」(ブラケットセリフ)を持つローマン体のCochin(コシャン, 1913)である。
Cochin(コシャン, 1913)は、フランスのジョルジュ・ペイニョ(Georges Peignot, 1872-1914)がパリの自分の活字工房Deberny & Peignotのために設計した書体である。書体名は18世紀のフランスの銅板画家ニコラ・コシャン(Nicolas Cochin, 1715–1790)にちなんでつけられたという。書体の構成はかなり複雑で、歴史上は「ネオルネサンスの動向(Neorenaissance movement)」のなかに位置づけられる。
とにかく、「土台がしっかりしていて、ちょっと癖がある」書体である。もう少し言えば、フランス風エスプリの効いた書体であるとも言える。決して単純という意味でシンプルな書体ではない:)。面白い。
って書いてんだけど、simple Aのロゴを見て、なんでCochinだと特定できたのでしょ?かなりマニアックな領域のフォントだと思うんだけど。うちのデザイナーもびっくり!なぜなら、「自分が苦心した「普通の人」には絶対にわからないような工夫を、即座に」三上「さんが言い当てたからです。」(p.128)
ってなわけで、結局何が言いたいのかって言うと、「たしかに一流の人たちってのは、梅田さんの提示した4つの条件を満たすよね。それはテクノロジーとあんまし関係ないとこでも言えるよね」ってこと。