simpleA記

馬にふつまに 負ほせ持て

最低でも知っておくべきこと


日本の政府が新年の抱負を言ったっぽい。*1

3000万冊を超える国会図書館の蔵書をデジタル化して全国で閲覧可能にするための法改正に政府が着手する。


http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS3S28039%2007012008


何ともまぁ、「後追い」な。でも日本もそろそーろ、書籍電子化が始まるのかな?(いつものごとく)時すでに遅し、でもやることに意義がある(はず)。がんばりましょ。西洋に追いつこー!追い越そー!*2ついでに、中国にもすでに負けてまーす。あと、東南アジアも、密かに進んでまーす。電子化後進国日本、どこまで大胆な法改正で、盛り返せるのか、注目したいところ。


というわけで、書籍電子化の先頭ランナーであるアメリカでは、論争がどこまで進んでいるのか、ってのを整理しときましょ。


書籍電子化ってどーよ?って思ったら、まずはここへ行こう。
http://www.oclc.org/programs/ourwork/collectivecoll/harmonization/massdigresourcelist.htm


うっひょー、英語がたーくさん、って思っちゃった人向けに、どーしても読んだほうがいいよ、ってレコメンド。


これを最初に読もう。
Rieger, Oya Y. "Preservation in the Age of Large-Scale Digitization." Council on Library and Information Resources. September 2007.
http://www.clir.org/activities/details/lsdi.pdf

ただし、この電子化白書(ホワイトペーパー)は、いわゆる白書なわけ。全体像を知るための最初の一歩としてはいいけど、あんましたいしたもんじゃない、ってことを忘れずに。


そんで、次にこれを読もう。
Brantley, Peter. "The Google Exchange." Radar O'Reilly. August 23, 2007.
http://radar.oreilly.com/archives/2007/08/the_google_exch.html


この「対話(Exchange)」はね、書籍電子化にまつわって発生する論争をうまーく要約してると思うよ〜。


あえて、超簡単に要約しちゃうと*3

A:Googleの電子化ってさ、指が写ってたりして、ありゃダメですわ


B:そんな指が写ってるくらいで文句いうなよー


A:あーら、なにをおっしゃいます、Early English Books Onlineみたいなものじゃなくちゃ、価値がありませんのよ


B:大規模な書籍電子化ってもんは、品質とコストのバランスの上に成り立つもんで、EEBOみたいな手間暇かけてるばあいじゃない、しかもGoogleは、中身を検索できる、ってとこに利点があって、きれいに見えますってもんはどーでもいーんだ


A:わたくしは、質と量のバランスが大切だと思いますぞよ、しかも検索がすばらしいって言いますけど、検索結果を見る限り、あれじゃ、役に立ちませんことよ


そんで、まだまだ読む元気がある人は、こちらに挑戦。
Brantley, Peter. "Monetizing libraries." Peter Brantley's Thoughts and Speculations. June 13, 2007.
http://blogs.lib.berkeley.edu/shimenawa.php/2007/06/13/monetizing_libraries


このエントリは、

Simply put, the CIC libraries are contributing in-copyright material to Google for scanning, but for the first time (known to me), they will not get a copy back.

というわけで、Googleと提携している各大学の契約書を見比べた上で、著作権がらみで何か変化が起きてるなぁ、って話。日本語で、http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITs2000013072007あたりを読んで、かなーり表面的な知識を叩き込んだあと、このPeterさんのエントリーを読みましょ。


ってなわけで、結局何が言いたいのかって言うと、「先頭ランナーはどんくらい先を走っているのかっていうと、さっきの「うっひょー、英語がたーくさん」って思っちゃったサイトで、どんくらい「うっひょー」だったか思い出して。なので、(最低でも知っておくべきこととして)日本では法改正に政府が着手しないと何も始まらないけど、アメリカではどんどんスキャンしてたらいつのまにか法が変わっちゃったかも、ってなことに思いをはせつつ、でも、日本は法改正さえ済めば、追いつけ追い越せは得意なので、これまた楽しみじゃのー」ってこと。



本年もよろしく〜

*1:ちなみに私の新年の抱負は、今年こそ、日本の携帯電話を使いこなせるよーになりたーい!

*2:でも、ホントは、全く別の方向を目指そー、と言いたいな。この点は、いずれ話します。

*3:かなり端折って、歪曲してあるから、必ず原文参照してね