経済学とビジネス その3
前回、「私は経営コンサルティングっちゅうのやってんだけど、経済学やビジネスの知識を売りもんにしてんじゃーなくて、モデルっちゅう方法を売り歩いてんよ」って話をした。
とは言ったものの、単に、モデル化して、適用しますってんだけじゃー、誰にも相手にされんわけ。そこには、もうふたつ、小道具が必要なわけ。
ここで、ちょっとだけ遠回りしましょ。
「帰納(きのう)」って言葉を聞いたことあるかしらん?(wikipedia:帰納)
この「帰納」って日本語は、誰が思いついたんだか知らんけど、訳分からんよね。もっとましなネーミングできんかったのかな。と、そんなグチはさておき、「帰納」ってのは、要は、「経験上、○○だと思う」ってこと。ただ、そんだけ。
そんで、その「帰納」がどんくらい正しいかっていうのは、ひとえに、「経験の量と素直な心」にかかってるわけ。
「経験上、○○だと思う」と言ったとしても、現実には、そーじゃないことはいくらでも起きるわけで、その都度、「○○」って部分を修正していくから、「帰納」の精度が上がっていく、ってのが、おおまかな流れなんよ*1。そーすっと、「経験の量と素直な心」が重要でしょ?
話を元に戻すと、モデル化ってのは、四捨五入すると「帰納」なわけ。そんで、そのモデルを魅力ある商品に仕立て上げる小道具ってのが、「経験の量と素直な心」であり、それは2009年モデルのsimple A名刺の裏にもれなくついてくる「急趨華圃」なわけ。
花のことについて何か知りたいと思うなら、図鑑を見て満足するでもなく、図鑑を見て予備知識を入れるでもなく、とにかく、花畑に行って、現物を見てみよう。そして、その花が語りかけてくる「秘密」に、耳を傾けよう。
同様に、ビジネスについて何かを知りたいと思うなら、ビジネス書を読んで満足するでもなく、ビジネス書を読んで予備知識を入れるでもなく、とにかく、ビジネスやって*2、現実に触れてみよう。そして、そのビジネスが語りかけてくる「秘密」に、耳を傾けよう。
だから、simple Aは何でも実際にやってみて*3、その結果(成功も失敗も)を注ぎ込んだモデルってのを提供するんよ。なので、simple Aにとっては、経験が原材料なわけ。たとえうまくいかなかったという経験でも、うまく行かないことを証明できる証拠材料として料理すんの。単に「できないと思います」という感想とは、わけが違うんよ。
そして、このような基本戦略が生まれたのは、私が経済学を学んでたときに実際に経験した失敗を反省(?)したからで、その意味においても、(私にとっての反面教師である)経済学を学んだ経験は、活きてる(かもしんない)の。
ってなわけで、結局何が言いたいのかっちゅうと、「経済学という既知の陸地を完全に離れ、ビジネスの大海においてイヌカキだけで生き延びてるのは、この徹底した経験重視のおかげなんじゃーないかと勝手に思ってんよ」ってこと。